2010年11月16日火曜日

四国めぐりこぼれ話しpart.3





10月30日

城西館で朝食をとったあとは近くの高知城まで市電を利用して出かけてみる。
http://kochipark.jp/kochijyo/

開館(開城?)朝イチということもあり客足もまばらであったが
天守閣まで昇ってみるとけっこうな混み具合(天守閣が小さいので)。

高知城は山内一豊で有名だが、では『山内一豊』より有名な『山内一豊の妻』の名前はなんと言う?
などと母親と話しながらぶらぶら午前中をそこで過ごす。

ちなみに正解は
NHKの大河ドラマ『功名が辻』では「ちよ」と言われているし、一説では「まつ」とも言われているしどうもはっきりしないというのが正しい。
わたしは「とよ」だと思っていたがそれはないみたい。

正午、おにぎりとお茶を買ったら高知→香川県の高松行きの高速バスに乗り込む。
所要2時間30分で太平洋側から瀬戸内海側まで移動。
今日の宿は全日空ホテルクレメンツ高松というタワー型ホテル。
ホテルを探すまでもない、その近辺で一番目立っているのがそこだ。
http://www.anaclement.com/

フロントで荷物を預かってもらうとそのままタクシー乗り場へ急ぐ。
今日のメインである「イサムノグチ庭園美術館」へ行くためである。
http://www.isamunoguchi.or.jp/gamen/home.htm

「すいません、イサムノグチ. . . 庭園美術館. . .に行きたいんですけど?」

「はい???」
タクシーの運転手さんはその場所を知らなかった。
(よかった〜〜〜〜〜〜、美術館までの地図持ってて〜〜〜)

車で移動すること30分。
昨日のアンパンマンミュージアムも田舎だったが
今回は田舎というより山の中と言った感じ。
人家は多いのだがどれも石屋さんで、近くの山から石を切り出してきていろいろ加工しているようだ。
(なんか、もののけ姫の『たたら場』の集落みたい?)

なんとか午後3時前に到着できた。
実はここは定員入れ替え制の美術館で1時間ほどツアーが組まれており、
それに遅れないかと内心ヒヤヒヤしていたのだ。(高速バスも時間通り走ってくれて良かったよ〜〜〜〜)
タクシーを降り際に運転手さんが
「帰りもよりましょか?」と言ってくれた。

自分も帰りはど〜しよ〜かな〜と思っていたところだったのでありがたくこの話に乗る。
「ほな、この名刺のところにお電話ください。私やなくても、だれかしら他のもんが運転しよるタクシーが来ますさかいに。」
(注:ここら辺の方言はいいかげんです)

イサムノグチ庭園美術館の集合所に行くと20名程度のお客がおみやげ(本、写真集、DVD、ポストカード等。キーホルダーやペナントはない)を見ながら3時になるのを待っていた。
定刻になると案内係の方がやって来て、まず館内は屋内屋外とも写真禁止であることを伝えた。

「え〜〜〜、アンパンマンミュージアムでは写真オッケーだったのに〜〜〜。
ケチ臭いこと言うなよ〜〜〜〜〜〜〜」

. . . と内心では思ったが顔は平静をよそおう。

で、庭園に実際に入ったのだが、
写真禁止で良かった。

あらゆるところが絵になるのだ。
イサムノグチの彫刻と、イサムノグチが設計した庭園________そして借景となった周囲の山々。
カメラ好きだったら1時間のツアー中、ずっとファインダーをのぞきっぱなしになるであろう。
ここはカメラではなくココロの目に焼きつけたい空間だ。

庭園美術館はもともとイサムノグチが住まい兼アトリエとして生活していた場所で
大きく分けると民家、作業場、庭園の3つに分けられる。

民家は大勢でどんどん入ると建物が痛むので玄関先、もしくは縁側からの見学のみ。
作業場(というより納屋と言った方が近い)は、入って行けて、現在はそこにイサムノグチの有名な作品が陳列されている。
庭園はイサムノグチが設計しただけあって普通の日本庭園よりもモダンで立体的だった。しかし和のイメージは損なわれていない。
まったく見事である。

ツアーに満足してみな、さきほどの集合所に戻って来てお土産などを買った後は
数名でチャーターした小型バスで帰る人たち、自家用車で帰る人など三々五々だ。
私もタクシー会社に電話した。

「あの、イサムノグチ庭園美術館まで配送お願いします。」

「はい???」
電話口の人がこれまたイサムノグチ庭園美術館を知らなかった。

「いや、さきほどおたくさんのタクシーを使って高松駅からここまで来たんですよ、そのときに名刺をいただいて、今こうして電話してるんですけどね、」
「運転手の名前をおぼえておりませんか?」
「. . . いいえ。」
(実はおれも、覚えておこうと思ったんだよな〜〜〜〜〜〜〜〜名刺には会社の名前と連絡先しか書いてなかったから。
 でも名前を控えるのってなんかクレームつけてるみたいで悪いかなと思ってやめたんだよね〜)

「あ、でも住所を言えばわかりますよね?高松市牟礼町牟礼3519です。」
「なるほど、そこでしたら2〜30分ほどで伺いますきに!」(注:方言はでたらめです)

こんなやりとりをしていたらいつのまにか集合所は私と母と店の人と若い女の子だけになっていた。
若い女の子はどうやってここまで来たのか知らないが、
店の人にバス停の場所と時間を聞いていたのでどうやら次のバスが来るまで、ここで時間をつぶしているみたいだった。

きっちり30分後にタクシー到着。

母とタクシーに乗り込む時にもまだその女の子は集合所にいたので思い切って
「あの. . . どちらまでお帰りですか?わたしたち高松駅まで帰るんですがよろしければ乗って行きませんか?」とたずねてみた。

これが私一人だったら
はっきり言って「ナンパ」である。
向こうも「引く」だろう。

でも、70近い母親もいることですっかり女の子も安心し、
「え?良いんですか?ありがとうございます!」
と快諾してくれた。

私が助手席、彼女と母親が後ろの席で帰りの道中いろいろとおしゃべりをしたが、いろいろ興味深い接点があった。

まずは彼女が東京から来ていたということ。(ここは共通点その1)
現在、多摩美の学生だということ。
(わたしは多摩美出身ではないが多摩美の美術館には何度も行っている。
多摩センターのベネッセのとなりにそれはあるのでよく時間つぶしでのぞいてみたりしているのだ。
ちなみに彼女のキャンパスは八王子なので美術館には行ってないとのこと。___非共通点その1だ)
5年前に東京現代美術館で催されたイサムノグチ展を見て感動し、今回ここまで来たということ。
(私もまったく同じ理由である!共通点その2)
現在開催中の瀬戸内国際芸術祭2010を見てきて瀬戸内海の離島に3泊したということ。

「あ、わたしたち明日、それを見に直島へ渡ろうと思ってるんですよ。
私がそう答えると

「明日は最終日ですから、相当混んでいると思いますよ。ひょっとしたら高松港から出る船にも乗れないかも知れません。」
まさかの爆弾発言が帰って来た。

「え(汗)。でもベネッセハウスに泊まる予約も取ってるし、どうしても船には乗らないとまずいんだよね...」
きわめて平静をよそおいつつ、そう答えると

「でしたら一番早い船便に乗ることをお勧めします。あしたは最終日なので特別臨時便というのが8時前に出るという情報があります。」

「. . . な、なるほど。」

「でも、それに乗るためにはもっとはやく券売所に並ばないとなりません。券売所は朝の7時にはもう、行列ができています。」

「. . . そ、そうですか。」

「この地図を差し上げます。もう私には必要のないものですから____。」

そういって彼女は島の詳細な地図をくれた。
そして有益な情報も。

高松駅で彼女とは別れた(. . . 別れたって、30分しか喋ってないじゃんと突っ込まないで)。
今日はホテルで食事をして、
明日はゆっくり起きて、10時頃にのんびり船に乗ろうと思っていたのに、

あなどれんな、瀬戸内国際芸術祭2010!!
http://setouchi-artfest.jp/

つづく。

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