2008年8月26日火曜日

インディジョーンズ4考察


インディジョーンズ4考察

この2ヶ月間、ほんと〜〜〜にいそがしく、気がつけば4、5日間、玄関から先に一歩も出ていないという状況がマジで続いており、すっかり気がめいっていましたがなんとかそれでも時間をやりくりしてインディジョーンズ4を観に行って来ました。1日1回だけ上映のシネコンの小さなスクリーンででしたがどうにかシリーズ全作連続オンタイムで劇場に足を運ぶ事が出来ました。

で、感想です。ネタバレもありますので観てない人はご注意を。

まず、この映画は同窓会である__________。
そのことを念頭において観るのが正解だと思う。

例えるなら今、武田鉄矢や杉田かおる、田原俊彦らが集まって金八先生の30年後を演じているような感覚に近い。
「よくぞ同じキャストで再集合したな」という感慨はあっても当時の熱気や勢いまでは再現できてはいない。
そんな映画であった。(少なくとも自分にとっては。)

ひょっとすると1〜3を知らない(まだ観た事のない)若い世代ならこれを楽しめたのかもしれない(全編にちりばめられた往年のフアン泣かせの小ネタには気がつかないことにはなるが...。)

それにしてもハリソンフォードの印象が変わってしまったのは寂しい。
いやルックスはまだまだ若くアクションも前3作と比べて遜色はないのだがなんというか、「老けた」というより「疲れた」ように見えるのだ。インディを演じていてもどこかノッていないように感じて見える。ハリソンも今年で66〜7になる。ひょっとしたら男性の更年期障害とか老年性の「うつ」になっているのではないかとさえ感じられた。(これはまったく私の推測でなんの根拠もないのでご注意を)

また、全編を通して感じた違和感が画像のざらつき感だ。
この映画、ほとんど晴れているシーンなのに青空が出てこない。みんな白くとんでしまっているのだ。それは登場人物や背景の色合いにもおよんでいてどこか真実味がないというか熱気が伝わってこないのだ。

インディジョーンズ4の撮影監督はヤヌス・カミンスキー。
スピルバーグの後期の監督昨は全てこの人が撮影を務めている。
実はカミンスキーの画は個人的には好みである。
スピルバーグと組んだプライベートライアンではオープニングのノルマンディー上陸のドキュメンタルな迫力、またクライマックス前のドイツ軍と戦う前の兵士のどこか寂しげな休息場面など心打たれるシーンが多い。
SFを撮らせてもマイノリティリポートのように素晴らしく発達した社会なのにどこか抑圧された閉塞感みたいなものが画面を通して伝わって来たりしてさすがとうならされる。

要するに彼のスタイルは一言で言えば”クール”なのだ。

だがインディジョーンズの世界観はクールではない。
陰か陽かと言えば100パーご陽気な世界だ。
クールな撮影スタイルをもった撮影監督と陽気な作品世界______
この不一致が作品に一種のちぐはぐさを持たせているのではなかろうか。

もちろんそれはカミンスキーの責任ではない。
スピルバーグ自身もラッシュのとき(いや撮影中の段階かな)にこの画像を観ているはずだ。スピルバーグがそれで良しとしたのならこの空気感は彼自身の心の現れとも言える。
つまりスピルバーグもハリソンフォード同様、どこか乗り切れていないままこの映画を作ってしまったのではなかろうか。

最後に言いたいのがクライマックスについて。
この映画のラストでいかにも!といった50年代風の空飛ぶ円盤が登場するのだが(イメージとしては世界が静止する日や禁断の惑星のそれに近い)ここの特撮がなんというか. . . 「ハムナプトラ2の試作版?」といった出来で非常に食い足りない印象が残った。画面が固定されていて躍動感が感じられないのだ。

たしかに今のハリウッド映画のクライマックスってこれでもかというくらいカメラワークが激しくカットも素早かったりと映像的にどんだけ盛り上げるんだ?!というくらい凝りまくっているのだがそもそもそのような流れをつくったのはルーカスでありスピルバーグその人ではなかったか。
「もう年だし、みんながやってるようなカットは撮りたくないヨ」と思ったかもしれないがそこはウォシャウスキー兄弟(マトリックス、スピードレーサー監督)やマイケルベイ(アルマゲドン、トランスフォーマー監督)やスティーブンソマーズ(ハムナプトラ、ヴァンヘルシング監督)といった新世代のクリエイターに対して「これが映画じゃい!!!」と元祖の底力を直球勝負で魅せて欲しかった!!

まぁいろいろと書いてしまったが結局のところ映画をほとんど映画館で観なくなった自分でも「コレだけは映画館で...」と足を運ばせてしまうような期待感をもち、DVDが発売されれば初回限定盤の高いやつを絶対買うであろう魅力をもった映画であった事は間違いない。

ただ、当時のレイダースと比べてしまうとねぇ. . . 。

いや、ここは同窓会に(お客としではあるが)参加できただけでも良しとするべきなのかもしれない。

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